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【メンズ・レディース同時生産を成功させる秘訣】アパレルOEMのメリットと注意点を徹底解説

「自分たちのブランドで、メンズとレディース両方のアイテムを展開したい」
「ユニセックスな商品を企画しているが、OEMの進め方がわからない」
「別々に発注すると、コストも手間もかかりそうで不安…」

アパレルブランドを運営する中で、顧客層を拡大するためにメンズ・レディース両方のアイテム展開を検討する場面は少なくありません。しかし、その一方で生産背景の違いや管理の複雑さから、一歩を踏み出せないでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、メンズとレディースのアパレル製品を同時にOEMで企画・生産したいと考えているブランド担当者様や個人事業主様に向けて、その具体的なメリットと、陥りがちな失敗を防ぐための注意点を専門家の視点から詳しく解説します。

アパレルOEM、特にメンズ・レディース両方となるとハードルが高いと感じられるかもしれませんが、計画的に進めることで、ブランドを大きく成長させる強力な武器となります。この記事を読めば、同時生産を成功させるための具体的なノウハウがわかります。

なぜ今、アパレルOEMでメンズ・レディース同時展開が有効なのか?

近年、ファッション市場では大きな変化が起きています。このトレンドを理解することが、OEM戦略を成功させる第一歩です。

市場トレンドの変化:ジェンダーレスファッションの浸透

性別にとらわれない「ジェンダーレス」や「ユニセックス」という考え方が、ファッションの世界で当たり前になりつつあります。オーバーサイズのシャツを女性が着こなしたり、逆に繊細なデザインのアクセサリーを男性が選んだりと、アイテムの選び方は自由度を増しています。

このような市場の変化は、ブランドにとって大きなチャンスです。メンズ・レディースという垣根を越えた商品提案は、新しい顧客層を獲得し、ブランドのファンを増やすきっかけになります。

D2Cブランドの成長戦略としてのアイテム拡充

SNSの普及により、個人や小規模なチームでものづくりを行い、直接顧客に販売するD2C(Direct to Consumer)ブランドが増えています。

D2Cブランドが成長を続けるためには、既存顧客を飽きさせず、新規顧客にアプローチし続けるための「アイテム拡充」が不可欠です。レディースで成功したブランドがメンズへ、メンズで成功したブランドがレディースへと展開することで、事業の柱を増やし、安定した収益基盤を築くことができます。

メンズ・レディース同時生産で得られる3つの大きなメリット

それでは、具体的にメンズとレディースのアイテムを同時にOEM生産することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、代表的な3つのメリットを詳しく解説します。

メリット1:生産コストの最適化と価格交渉力の向上

アパレルOEMにおいて、コストは最も重要な要素の一つです。同時生産は、このコスト面で大きなメリットをもたらします。

スケールメリットによる単価の引き下げ

OEM生産では、基本的に生産する量(ロット)が多ければ多いほど、1枚あたりの単価は安くなります。

例えば、メンズシャツを100枚、レディースブラウスを100枚、別々のタイミングで発注すると、それぞれが「小ロット」扱いになる可能性があります。しかし、これらを同時に「合計200枚」として発注し、生地や付属(ボタンなど)を共通化できれば、工場側は材料をまとめて安く仕入れることができます。また、生産ラインの稼働効率も上がるため、その分を単価に還元してくれるのです。

これは、小規模ブランドにとって非常に大きなアドバンテージとなります。

メリット2:ブランドイメージの統一と世界観の強化

強いブランドには、一貫した「世界観」があります。同時生産は、この世界観をより強固にする上で役立ちます。

デザインや素材の連携によるブランディング

同じコンセプトやストーリーに基づいて、メンズとレディースのアイテムを同時に企画することで、ブランド全体に統一感が生まれます。例えば、「サステナブルなオーガニックコットン」をテーマに、同じ生地を使ってメンズのTシャツとレディースのワンピースを製作したとします。

これにより、消費者は「このブランドは素材にこだわっている」というメッセージを、性別を問わず強く感じ取ることができます。ペアルックやギフトとしての需要も生まれ、顧客エンゲージメントの向上にも繋がります。

メリット3:生産管理の効率化と納期の短縮

ブランド運営において、時間と手間は有限なリソースです。OEMの管理業務は煩雑になりがちですが、同時生産によってこれを大幅に効率化できます。

窓口一本化によるコミュニケーションコストの削減

メンズとレディースを別々のOEMメーカーや工場に依頼すると、連絡窓口が二つになり、仕様の伝達やサンプル確認、修正指示などのやり取りが倍になります。これは、単純に手間がかかるだけでなく、伝達ミスや認識のズレを生む原因にもなりかねません。

窓口を一つにまとめることで、コミュニケーションは格段にスムーズになります。企画会議も一度で済み、仕様変更があった際も一回の連絡で両方のアイテムに反映させることができます。この効率化は、商品開発のスピードアップに直結し、結果として納期短縮も期待できるのです。

【最重要】アパレルOEMで失敗しないための5つのチェックポイント

多くのメリットがある一方で、メンズとレディースの同時生産には、乗り越えるべきハードルも存在します。ここが最も重要なパートです。以下の5つのポイントを必ず押さえ、計画的に進めましょう。

チェックポイント1:デザインとパターンの「違い」を深く理解する

「同じデザインでサイズを変えれば良い」という考えは非常に危険です。男女の身体的な違いを無視すると、着心地が悪く、見た目も不格好な製品になってしまいます。

骨格と体型の違いをパターンに反映させる

肩幅と胸囲:男性は肩幅が広く、胸板が厚い傾向にあります。ジャケットやシャツの肩のライン、アームホールの設計は根本的に異なります。
ウエストとヒップ:女性はウエストがくびれ、ヒップにかけて丸みのあるラインを描きます。パンツやスカートのパターンでは、この曲線に合わせたダーツや切り替えの処理が重要になります。

これらの違いを理解し、それぞれの性別に最適化されたパターンを作成できる、経験豊富なパタンナーの存在が不可欠です。OEMメーカーを選ぶ際には、メンズ・レディース両方のパターンに対応できるか必ず確認しましょう。

「ユニセックス」のサイジングに潜む罠

ユニセックスアイテムを作る場合、サイズ展開はさらに慎重になる必要があります。単純なS/M/L展開では、「男性には小さいが、女性には大きすぎる」といった問題が起こりがちです。

ターゲットとする顧客層は誰なのかを明確にし、「Mサイズは平均的な身長の女性と、小柄な男性をカバーする」といった具体的なペルソナを設定することが重要です。場合によっては、XSからXLまで幅広くサイズを展開する必要もあるでしょう。

チェックポイント2:素材選定における男女の嗜好を考慮する

同じ素材でも、男女で好まれる質感や求められる機能性は異なります。

好まれる質感と機能性の傾向

メンズ:一般的に、ハリやコシのあるしっかりとした生地、耐久性や速乾性といった機能性が重視される傾向があります。
レディース:柔らかさ、美しいドレープ(落ち感)、滑らかな肌触り、見た目の華やかさなどが好まれることが多いです。

もちろんこれはあくまで一般的な傾向であり、ブランドのコンセプトによって最適な素材は異なります。両方の性別に受け入れられる素材を選ぶには、両方の特性をバランス良く満たすものを見つける必要があります。

同時展開しやすい「万能素材」とは

では、どのような素材が使いやすいのでしょうか。
高品質なコットン:番手(糸の太さ)や織り方を変えることで、メンズ向けのタフな表情からレディース向けのしなやかな表情まで表現できます。
リネン(麻):ナチュラルで清涼感のある風合いは男女問わず人気です。シワ感さえもデザインの一部として楽しめます。
機能性合成繊維:ストレッチ性や撥水性を持つポリエステルやナイロンは、アクティブウェアやアウターで共通して使いやすい素材です。

チェックポイント3:工場の「本当の得意分野」を見極める

「メンズ・レディースOEM対応可能」と謳っている工場でも、実はどちらかに得意分野が偏っているケースは少なくありません。工場の実力を見極めることが、品質を左右します。

生産実績を具体的に確認する

過去にどのようなアイテムを、どれくらいの量、どのブランドで生産してきたか、具体的な実績を見せてもらいましょう。メンズの重衣料(ジャケットやコート)の実績は豊富でも、レディースの繊細なブラウスやドレスの経験は少ない、ということもあり得ます。写真だけでなく、可能であればサンプルに触れさせてもらうのが理想です。

縫製仕様の違いに対応できるか

メンズのシャツとレディースのブラウスでは、求められる縫製技術が異なります。例えば、襟の作り方、ボタンの付け方(メンズは右前、レディースは左前)、ステッチの細かさなど、細部にこそ品質の差が現れます。

両方の仕様に精通し、高品質な縫製ができる技術力を持った工場を選ぶことが極めて重要です。

チェックポイント4:誤解を防ぐ「発注仕様書」を作り込む

仕様書は、ブランド側と工場側との間で認識を共有するための「設計図」です。ここが曖昧だと、イメージと違う製品が上がってくる原因となります。

以下の表は、仕様書に記載すべき項目と、メンズ・レディースで特に注意すべき点をまとめたものです。

項目 記載内容 メンズ・レディースでの特に注意すべき点
品番・品名 管理用の番号、アイテム名 男女で品番を分けるなど、管理しやすいルールを決める。
素材・混率 使用する生地の情報(綿100%など) 同じ生地でも、製品洗いなどで風合いを変える場合は指示を明確に。
カラー展開 色名と色番(PANTONEなど) 同じ色名でも、男女で微妙に好まれるトーンが違う場合があるため注意。
サイズ展開 S, M, Lなどのサイズ表記 最も重要な項目。男女それぞれのサイズスペック(寸法)を詳細に記載する。
縫製仕様 運針数、始末の方法(ロック、パイピング等) メンズの丈夫な仕様、レディースの繊細な仕様など、アイテムに合わせた指示を。
付属 ボタン、ファスナー、ブランドネームなど ボタンの大きさやデザイン、ネームの付け位置など、男女で変える場合は明記する。

チェックポイント5:リスクを避けるためのテストマーケティング

いきなり大ロットで生産するのはリスクが伴います。特に新しい試みであるメンズ・レディース同時展開では、まず市場の反応を見ることが賢明です。

信頼できるOEMパートナーであれば、小ロットでのサンプル生産やテスト生産に対応してくれるはずです。まずは最小限の数量で生産し、クラウドファンディングで先行予約販売を行ったり、ポップアップストアで顧客の反応を直接確かめたりする方法が有効です。その結果を元に、本生産の数量や仕様を調整することで、在庫リスクを最小限に抑えることができます。

【ケーススタディ】同時生産で成功したD2Cブランド「Nostalgic Wardrobe」の事例

ここで、架空のD2Cブランドを例に、成功のプロセスを具体的に見ていきましょう。

課題:レディース専門ブランドの成長の壁

「Nostalgic Wardrobe」は、30代女性をターゲットにした、上質な天然素材が人気のD2Cブランドでした。順調にファンを増やしていましたが、売上は徐々に頭打ちに。顧客インタビューを行うと、「パートナーにも着せたい」「男性でも着られるデザインはないか」という声が多く寄せられていました。

アプローチ:既存資産を活かしたメンズ展開

そこで同ブランドは、レディースで最も人気があったリネンシャツをベースにしたメンズ展開を決意。メンズとレディース両方のOEMに強いパートナー企業に相談し、以下の戦略で進めました。

生地の共通化:レディースと同じ高品質なリネン生地を採用。まとめて仕入れることでコストを抑制。
パターンの最適化:パートナー企業の知見を借り、男性の骨格に合わせたパターンをゼロから作成。着心地とシルエットを追求。
小ロットでのテスト:まずは各30枚の小ロットで生産し、SNSとオンラインストアでテスト販売を実施。

結果:新規顧客層の獲得と売上1.5倍増

テスト販売の結果、ペアルックやギフトとしての需要が想定以上に高く、即完売。自信を得たブランドは本格生産に踏み切り、メンズラインを正式にスタートさせました。結果として、男性の新規顧客獲得に成功し、ブランド全体の売上は前年比1.5倍にまで成長しました。

この事例は、計画的なメンズ・レディースOEMがいかに強力な成長エンジンとなり得るかを示しています。

まとめ:信頼できるパートナーと共に、ブランドの新たなステージへ

この記事では、メンズ・レディースアイテムを同時にOEM生産する際のメリットと、成功に不可欠な5つのチェックポイントを解説しました。

メリット:コスト最適化、ブランドイメージ統一、生産管理の効率化。
注意点:パターン、素材、工場選定、仕様書、テストマーケティング。

メンズ・レディースの同時生産は、確かに専門的な知識と計画性が必要です。しかし、そのハードルを乗り越えた先には、ブランドの大きな飛躍が待っています。そして、その成功の最も重要なカギを握るのが、貴社のビジョンを深く理解し、的確な技術と知識でサポートしてくれる信頼できるOEMパートナーの存在です。

この記事が、あなたのブランドの新しい挑戦の第一歩となれば幸いです。


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